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橋場 信夫
Origin Ⅱ - 見えないものの形と光

2017年1月14日(土) - 2月5日(日)

美術家 橋場信夫が探求し続ける普遍的なシンボルと光の根源・・・。
天照大神から古代エジプトの太陽神、黄金のケルト、まばゆい仏像まで、いつの時代も光が人類へ希望をもたらしてきました。新年最初の展覧会で光にあふれた世界をご鑑賞ください。

アーティストメッセージ

私は3歳だった。静かな夏の日の、青い空だけが支配している幼稚園の庭で、私は一人空を見つめていた。するとある一点が突然眩い光で輝きだした。私にとっては長い時間のように思えた数秒の後、青空に吸い込まれるようにそれは消えていった。神秘的に感じたその光を美しいと思ってから、「光」は私にとって特別な存在になった。鎌倉で過ごす夏休み、海辺に出て水遊びに興じるより、きらきらと光る波を見るのが好きだった。絶え間なく、たまゆらに輝く光ははかなくも美しく、また、はかなさ故の永遠と刹那を、少年の私は感じ取っていたのかもしれない。
光とは、私たちにとってどんな存在なのだろうか。光のない世界を私たちは想像できるだろうか。古代エジプトの太陽神を初めとし、古代ギリシャ、ケルトの十字架に重なる太陽神の円、日本では天照大神と、光をもたらす太陽を神と崇める信仰は世界中にある。
物理学では、物質は反物質に出会うと消えてしまう。宇宙が誕生した時、物質と反物質は当然同じ量だけあるので宇宙は消えてなくなるはずだった。ところが謎なのは、物質の方が反物質より10億分の2ほど多かった。そのために、生き残った物質が現在の宇宙を形成した。しかも光によって確認できる目に見える宇宙は、全宇宙の5%に過ぎない。光があることは宇宙が存在するのと同じく奇跡なのだ。

 

画家にとって光は何よりも重要だ。フォルムも色彩も、光がなくては見ることはできないのだから。光は生命にとっても精神や魂にとっても、根源的なものだ。以前から私は光を描いてきたが、それは光を外から見るという手法だった。しかし最近、瞑想をすると、光の中に包まれているようなヴィジョンが見えるようになり、その内的な光を絵に描きたいと思うようになった。

 

アマテラスの象徴が鏡であるように、仏像が金箔を施されているように、ビザンチンの聖堂が金のモザイクで埋められているように、イコンの背景が金の光であるように、私は光を根源的なものとして捉え、それがどのような意味を持つのかを、ゆっくり探求したいと思っている。

開催概要

橋場 信夫『Origin Ⅱ - 見えないものの形と光』

会期: 2017年1月14日(土) - 2月5日(日)

開廊日時:火 – 日、13 – 19pm

休廊日:月曜日

講演会

橋場信夫+佐伯誠(司会)
2017年2月18日(土)  16:00 〜 18:00

 

個展 『ORIGIN Ⅱ 見えないものの形と光』 を記念して、作家より根源、見えないもの、光、そしてアートについてお話をしていただきます。司会は文筆家の佐伯誠さん。

 

場 所:ティル・ナ・ノーグ ギャラリー
参加費:1,000円(ドリンク/ポストカード付) 要予約

席に限りがありますのでお早めにメール(tirnanogtokyo@gmail.com)または
お電話(03-3322-1100)にてご予約をお願いいたします。

 

ラスコー洞窟に残された古代人の壁画に遭遇してから、橋場信夫の「根源」への内的な旅が始まりました。以後、全人類に共有される根源を現代アートと いう形に昇華させた作品を発表し続けています。今回は佐伯さんの司会のもと、パリ留学時代の経験、光からもたらされた洞察など、興味深いお話をたくさん聞 かせていただけることでしょう。このすばらしい機会をどうぞお見逃しなく。

 

当日は13時からギャラリーをオープンしていますので、早めにおいでいただき、まずは作品をゆっくりご鑑賞ください。

作家プロフィール

橋場 信夫

1950年東京生まれ。1978–79エコール・デ・ボザール アトリエ・ヤンケル (パリ/フランス)。1970年代より数々の個展、沖縄サミットのための作品制作、国際コンテポラリーアートフェア出品、コーポレイトアートプロジェクト等で活躍。日本古来の室礼(しつらい)に現代美術を取り込んだ第一人者。
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